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浴室換気扇を暖房乾燥機に交換
費用・メリットと
後悔しないための注意点

【最重要】「換気扇交換」とは全くの別工事!最初に知ってほしい3つの大きな違い

「古くなった換気扇、せっかくだから冬の寒さ対策やヒートショック対策に、暖房機能や衣類乾燥機能もつけたいな」…そうお考えではありませんか?多くの方は「少し高機能な換気扇に入れ替えるだけ」というイメージをお持ちですが、現実は全く異なります。

まず、この2つの工事の違いを写真で見比べてみてください。

一般的な換気扇交換。本体の大きさはほぼ同じです。
シンプルな換気扇から新しい換気扇への交換前後比較写真
浴室暖房乾燥機への交換。本体が非常に大きくなるのが分かります。
シンプルな換気扇から大型の浴室暖房乾燥機への交換前後比較写真

写真の通り、浴室暖房乾燥機への交換は、ただ入れ替えるだけの簡単な作業ではありません。例えるなら**「天井に埋め込む、小型のエアコンを設置する」**のに近い、専門的な電気工事と天井の加工が必要になります。

後悔しないために、絶対に知っておくべき3つのポイントをご紹介します。

1. エアコンと同じ「専用電気回路」が必要です

浴室暖房乾燥機は、ドライヤーや電子レンジのように非常に多くの電力を消費します。そのため、安全に電気をお使いいただくために、ご家庭の分電盤から浴室まで直接つながる専用の配線工事が必要です。

2. 天井を大きく開けて「補強」も必要です

本体が通常の換気扇より大きく重いため、既存の換気扇の穴を広げる天井の開口工事と、その重量をしっかり支えるために開口部の補強工事が必要です。

3. だから、費用も工事時間も大きく変わります

これらの専門工事が必要になるため、費用や工事にかかる時間も、シンプルな換気扇交換とは全く異なってきます。この事実を知らずに見積もりを取ると、「こんなはずじゃなかった…」と驚いてしまうかもしれません。

ヒートショック対策で、私たちが「脱衣所」も重要と考える理由

多くの方が浴室暖房機を検討する最大の理由が「ヒートショック対策」です。**消費者庁**などの政府機関も、冬場の入浴事故を防ぐために**「入浴前に脱衣所や浴室を暖めること」**を推奨しており、浴室を暖めることはもちろん非常に重要です。

その上で、長年工事に携わってきた専門業者の視点として、**ヒートショック対策でより重要なのは「脱衣所」**だと考えます。

実際、公的な情報でも注意喚起されているように、血圧が最初に急上昇する最も危険なタイミングは、暖かいリビングから移動してきて服を脱ぐ、寒い「脱衣所」で起こるからです。

そこで、プロがご提案する、ご家庭の状況に合わせた2つの現実的な選択肢をご紹介します。

提案A:多機能な「浴室暖房乾燥機」で浴室をメインに暖める

→ こんな方におすすめと考えます:「衣類乾燥機能は絶対に欲しい」「浴室も脱衣所も、まるごと快適にしたい」という方。

提案B:脱衣所専用暖房機でヒートショックを直接防ぐ

脱衣所の壁に取り付ける専用の暖房機が、各メーカーから発売されています。

→ こんな方におすすめと考えます:「衣類乾燥は不要」「ヒートショック対策を最優先で、かつコストを抑えて実現したい」という方。特に、**「浴室の換気扇はまだ新しいので交換する必要はない」**というご家庭には、非常に合理的な選択肢です。

知っておきたい電気容量(ブレーカー)の話

後付けの場合は大掛かりな配管工事が不要な**「電気式」**が基本となりますが、その分、ご家庭の電気容量について少しだけ知っておく必要があります。

ご自宅の「契約アンペア」は足りていますか?

浴室暖房乾燥機は、実はご家庭の中でもトップクラスに電気を消費する家電です。どれくらい電気を使うのか、エアコンを例にイメージしてみましょう。

もし、現在すでに「冬の寒い夜に、リビングのエアコンと、キッチンの電子レンジなどを同時に使うとブレーカーが落ちることがある」といったご経験がある場合、注意が必要です。

では、どうすれば良いのでしょうか?解決策は主に2つあります。

浴室暖房乾燥機の3つの大きなメリット

大変な工事になることは分かったけど、それでも導入する価値はあるの?はい、もちろんございます。浴室暖房乾燥機がもたらす生活の変化は、非常に大きなものです。

気になる費用は総額いくら?料金実例で内訳を徹底解説

浴室暖房乾燥機への交換は、いくつかの工事が組み合わさるため、料金の内訳をしっかり理解しておくことが大切です。ここでは、2つの具体的な実例を元に、費用の内訳を見ていきましょう。

【料金実例A】分電盤が近く、工事がスムーズに進んだケース

築15年ほどの戸建て。分電盤が浴室のすぐ隣の脱衣所にあり、天井裏のスペースも十分な、比較的条件の良い現場です。

【料金実例B】分電盤が遠く、配線工事に手間がかかったケース

築30年の戸建て。分電盤が1階の玄関にあり、浴室は1階の奥。配線は壁の中を通すのが難しく、一部を露出配線(配線モールでカバー)で施工した現場です。

このように、**ご自宅の分電盤の位置**が、総額費用を左右する大きな要因になることがお分かりいただけたかと思います。

「100V」と「200V」どちらを選ぶべき?

100Vタイプの特徴とおすすめな人

多くのご家庭のコンセントで使われている標準的な電圧です。200Vタイプに比べて暖房パワーは穏やかですが、その分、本体価格や設置費用が比較的安価になる傾向があります。ユニットバスがそれほど大きくない場合や、初期費用を抑えたい方におすすめです。ただし、冬場の寒い時期には、浴室全体が暖まるまでに少し時間がかかる点は正直にお伝えしておきます。

200Vタイプの特徴とおすすめな人

パワフルで、暖房の立ち上がりが非常に早いのが最大の魅力です。広い浴室や、特に冬場の気温が低い寒冷地にお住まいの方、また洗濯物を素早く乾かしたい方には、200Vタイプが断然おすすめです。ただし、先述の通り消費電力が非常に大きいため、ご家庭の契約アンペアや電気の使い方をよく考慮した上で選ぶ必要があります。

なぜ、この工事には「現地調査」が重要なのか?

シンプルな換気扇交換とは異なり、浴室暖房乾燥機へのアップグレードは、お客様のご自宅の状況によって工事内容が大きく変わるため、正確なお見積もりにはプロによる現地調査が非常に重要です。写真だけでは判断が難しい、以下のような点を専門家は確認しています。

これらの点をプロが直接現地で確認することで、お客様に**安心で、確実な工事プランと、正確な総額見積もりを提示できる**のです。

ですので、お客様が最初にすべきことは、複雑な写真を撮ることではありません。「浴室換気扇を暖房乾燥機に交換したいので、一度見積もりに来てほしい」と、まずは気軽に専門業者に電話やメールで相談することです。誠実な業者であれば、喜んで対応してくれるはずです。

この記事を書いた人
株式会社電恵 代表取締役 岸 元気
岸 元気電気工事士
株式会社電恵代表。
電気工事施行管理20年の経験
保有資格:第一種電気工事士、1級電気施行管理技士。
電気工事の経験20年、独立後は自力で作成したホームページ集客のみで法人設立後も3年間黒字を維持。