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換気扇が吸わない!
換気能力が低下する【本当の三大原因】と見極め方

【はじめにご確認ください】このページで解説する換気扇について

「換気扇が吸わない」というお悩みは、キッチンの『レンジフード』と、お風呂やトイレで使われる『換気扇』のどちらでも起こります。

このページでは、主に以下のような、お風呂やトイレ、居室で使われる換気扇に特化して、専門的な視点から原因と解決策を徹底解説します。

浴室やトイレで使われる、天井埋め込み型の換気扇と壁掛け型のパイプファンの2種類の写真
ご自宅の換気扇はどちらのタイプですか?左がマンションなどに多い天井タイプ、右が戸建てに多い壁付けタイプです

もし、キッチンのレンジフードでお困りの場合は、原因や対処法が異なりますのでご注意ください。

【まず、この3つをチェック】

換気扇が吸わないと感じたら、まず以下の簡単なチェックを試してみてください。

  • □ ティッシュペーパーは吸い付く?
    換気扇のカバーにティッシュペーパーを一枚当ててみてください。ピタッと吸い付けば最低限の吸引力はあります。すぐに落ちてしまう場合は、吸引力が著しく低下しています。
  • □ 給気口は開いている?
    お部屋の壁にある給気口が閉じていませんか?または、換気扇を回すときに少しだけドアを開けてみても改善しませんか?
  • □ 変な音はしていない?
    「カラカラ」「ウィーン」といった異音が聞こえませんか?

もし、これらのチェックで問題が見つかった場合、その原因はこれから解説する内容に当てはまっている可能性が非常に高いです。

「お風呂の湿気」「トイレの臭い」…以前より抜けにくくなっていませんか?

もしそう感じているなら、それは気のせいではありません。

「換気扇は回っているから大丈夫」と思いがちですが、実は換気扇の性能は、年月と共に少しずつ低下していく宿命を持っています。

なぜなら、換気能力が落ちる本当の原因は、換気扇本体そのものではなく、その先にある「空気の通り道」全体に隠されているからです。

換気扇は「本体・ダクト・排気口」で一つのシステムです

まず、換気扇のシンプルな仕組みをご説明します。
①換気扇本体が、室内の空気を吸い込みます。
②吸い込んだ空気は、天井裏のダクト(管)を通って外に向かいます。
③そして、建物の外壁にある排気口から、屋外へ排出されます。

この「換気扇本体 → ダクト → 排気口」という空気の通り道全体で、一つの換気システムなのです。

ではなぜ、その「通り道」にホコリが溜まるのでしょうか?

「空気と一緒に出て行ってしまうのでは?」と思われるかもしれません。しかし、ホコリは少しずつ、通り道の内部に蓄積していきます。

【ホコリはどこから来る?】
例えば、お風呂の脱衣所を思い浮かべてみてください。衣類を脱ぎ着するだけで、目に見えない繊維のクズやホコリがたくさん舞い上がります。トイレであれば、トイレットペーパーの細かな粉塵。換気扇は、こうした室内のホコリを空気と一緒に毎日吸い込んでいるのです。

【なぜ、通り道に溜まる?】
空気は勢いよく流れていても、湿気を含んで重くなったホコリや、静電気で引き寄せられたホコリは、ダクトの壁面や排気口の網に少しずつ付着していきます。それが10年という長い年月をかけて堆積し、空気の流れを妨げる分厚い壁となっていくのです。

本題の前に、まず確認したい換気の基本

換気能力が低下する根本原因は、ほとんどの場合、先ほどご説明した換気経路の内部に蓄積したホコリです。

ただ、その内部を詳しく見ていく前に、一つだけご自身で簡単に確認できる換気の基本があります。それは、お部屋の「空気の入口(給気)」が確保されているかどうかです。意外な見落とし穴となっていることもありますので、まずはここから確認してみましょう。

お部屋の給気口は、閉じたままになっていませんか?

換気扇は空気を「出す(排気)」だけでなく、どこかから空気を「入れる(給気)」ことで初めてスムーズに機能します。

【壁に給気口があるお住まいの場合】
寒い時期などに、給気口を閉じたままになっていないでしょうか。一度、開けた状態で換気扇を運転してみてください。

【お住まいに専用の給気口が見当たらない場合】
少し前の戸建て住宅などでは、専用の給気口がないことも少なくありません。その場合は、試しに浴室やトイレのドアを少しだけ開けて換気扇を運転してみてください。

換気能力が落ちる根本原因は、ほぼこの3つに集約されます

さて、給気口の確認でも改善しなかった場合、いよいよ換気扇内部の原因を見ていきましょう。換気能力が低下する根本的な原因は、ほとんどの場合、次の3つです。

原因①:換気扇本体のホコリによる「目詰まり」

換気能力が低下する最も一般的で、直接的な原因がこれです。空気の入口となるファン、その羽根一枚一枚に、長年吸い込み続けたホコリがびっしりと付着し、目詰まりを起こしている状態です。浴室の湿ったホコリも、トイレの乾いたホコリも、年月をかければ空気の流れを妨げる分厚い層になっていきます。

ホコリがびっしりと付着した壁掛け型のパイプファンと天井埋め込み型のシロッコファンの写真
壁付けのパイプファン(左)も、天井のシロッコファン(右)も、長年のホコリが羽根に固着し、換気能力を低下させます。

原因②:見えない通り道「ダクト・排気口」の閉塞

ファン本体の汚れは、実は「氷山の一角」に過ぎません。

これは、私がこれまで1000件以上の換気扇交換の現場で見てきた、最も見落とされがちで、かつ専門家でなければ解決が難しい原因です。

ホコリで狭くなった排気ダクトの内部と、網がホコリで完全に塞がれた屋外排気口の写真
天井裏のダクト(左)や屋外の排気口(右)の詰まりは、ご自身で確認することが難しい、換気能力低下の深刻な原因です。

特に、換気能力を劇的に低下させる最大の原因となりやすいのが、建物の外にある「屋外排気口」です。防虫網などが付いている場合、そこに湿気を含んだホコリがびっしりと固着し、空気の出口を完全に塞いでしまうのです。実際に、換気扇は動いているのに、ここが詰まっているせいで排気が全く行われていない、というケースも珍しくありません。

もちろん、天井裏の「ダクト」内部のホコリも大きな抵抗になります。特にマンションなどでは、このダクトが10m以上の長さになることもあり、その内部を清掃するには専門の機材が必要です。ご自身で状態を確認したり、掃除したりすることは、まず不可能と言えるでしょう。

原因③:モーター自体の寿命による「パワー不足」

そして、これはまれなケースですが、最後に考えられるのがこの問題です。換気扇の心臓部であるモーターは、10年以上経つと、たとえ異音もなく静かに回っていても、確実に劣化は進行しています。見た目では分かりにくいのですが、モーターの回転そのものが、新品の頃と比べて弱まっていることがあります。これにより、空気を力強く押し出すパワーが落ち、結果として十分な換気ができなくなっているのです。

なぜ「掃除」より「交換」が合理的なのか、その理由

原因は分かったけど、結局どうすればいいの?その疑問に、プロとしてお答えします。

「徹底的な掃除」という選択肢が、実は現実的ではない理由

「原因はホコリなら、徹底的に掃除すれば直るのでは?」…そう思われるのは当然のことです。しかし、ここで「プロの視点」から、非常に重要な事実をお伝えしなければなりません。

【事実1:ご自身での掃除には、困難とリスクが伴います】
脚立に乗り、上を向いて行う作業は体勢が不安定なだけでなく、固着したホコリが顔や目に降りかかることもあり、想像以上に大変です。
そして最大のリスクは、ブラシなどでこすり落としたホコリの塊を、その場で完全に取り除くのは非常に困難なことです。掃除の後、スイッチを入れた瞬間、取り残されたホコリがダクトの奥へと押し込まれ、かえってより深刻な詰まりを引き起こしてしまう可能性があるのです。

【事実2:本当の清掃は「本体の取り外し」が必須です】
ファンに固着したホコリを完璧に除去するには、換気扇本体を一度壁や天井から取り外し、さらに内部のファンを分解する必要があります。

【事実3:多くの清掃業者には「取り外し」ができません】
では、ハウスクリーニングの専門業者に頼めば良いのでしょうか?実は、ここにも大きな壁があります。換気扇の「取り外し・再設置」は電気工事にあたるため、電気工事士の資格がなければ行えません。多くの清掃専門業者はこの資格を持っていないため、彼らが行えるのも、結局は「本体を取り外さない範囲での表面的な清掃」に限られてしまうのです。

【結論】だからこそ「交換」が最も合理的です

一般的に、換気扇の耐用年数(設計上の標準使用期間)は10年~15年と言われています。つまり、10年以上お使いの換気扇は、たとえ今動いていたとしても、いつモーターが寿命を迎えてもおかしくない状態なのです。

その状態で、専門家が「取り外し」という手間と決して安くない費用をかけて古い換気扇を清掃するよりも、このタイミングで本体ごと新品に交換し、その際に可能な範囲で換気経路も清掃する。それが、結果としてお客様の費用と時間を無駄にしない、最も合理的な選択となるのです。

【補足】少しでも変な音がするなら、迷わず「交換」のサインです

これまでご説明したホコリや寿命の話以前に、「ウィーン」「カラカラ」といった異音が少しでも聞こえる場合、それはモーターが限界を迎えている明確な証拠です。この場合は、掃除という選択肢はあり得ませんので、迷わず交換をご検討ください。
(→異音の原因について、さらに詳しくはこちら

【最終的な結論】

根本的な換気能力の改善には「本体交換+換気経路の点検」が最も確実な方法です。
寿命を迎えた換気扇本体を新品に交換し、その際に専門家が空気の通り道(ダクトや排気口)全体を点検・清掃することで、換気能力を新品に近い状態にまで回復させることが期待できます。

まとめ:換気能力の低下は、換気システム全体を見直す良い機会です

換気扇が吸わないのは、単なる汚れではなく、モーターの寿命やダクト全体の詰まりといった、換気システム全体のSOSサインです。信頼できる専門家は、ただ新しいものに交換するだけでなく、なぜ換気能力が落ちてしまったのか、その根本原因まで考え、お客様の家の換気環境全体をより良くするための提案をしてくれるはずです。中途半端な掃除で時間と費用を無駄にする前に、まずは専門家に相談し、ご自宅の状況に合った最善の解決策を見つけることが重要です。

「うちの換気扇は交換が必要そうだ…費用はいくら?」と思われた方は、まずはこちらのページで、ご自宅の状況に近い交換費用の目安をご確認ください。

この記事を書いた人
株式会社電恵 代表取締役 岸 元気
岸 元気電気工事士
株式会社電恵代表。
電気工事施行管理20年の経験
保有資格:第一種電気工事士、1級電気施行管理技士。
電気工事の経験20年、独立後は自力で作成したホームページ集客のみで法人設立後も3年間黒字を維持。