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換気扇の異音(カタカタ・ジー)は故障?
原因と、修理・交換の判断基準

その「気になる音」、換気扇からのSOSサインです

ある日突然、静かだった換気扇から聞こえ始めた「カタカタ」「ジー」という耳障りな音。その異音は、毎日動き続けてくれた換気扇が、「もう限界が近いですよ」と知らせる、重要なSOSサインです。

このページでは、異音の本当の原因と、最も重要な「修理で済むのか、それとも交換すべきなのか」という判断基準について、分かりやすく解説します。

異音の正体は?考えられる2つの原因

換気扇から聞こえる不快な異音。やみくもに不安になる前に、まずはその「音の質」に耳を澄ませてみてください。長年の経験上、異音の原因は、大きく分けて2つのパターンに集約されます。

パターン1:「キーキー」「キュルキュル」といった、高い金属音や機械音

もし、このような金属が擦れるような、あるいはモーターが唸るような音が聞こえたら、それは換気扇の心臓部である「モーター」そのものが、寿命を迎えたサインです。

原因は、モーター内部の潤滑油(グリス)切れによって、回転軸とモーター本体が擦れてしまっていることです。「それなら、潤滑剤をさせば直るのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、ご自身での注油には、見過ごせない大きなリスクが潜んでいます。潤滑剤を正しい場所にさすには、まずファン(シロッコファン)を取り外す必要があります。特に10年以上経過した製品は、このファンが軸に固着して、専用の工具なしで取り外すのは非常に困難です。無理に力を加えると、モーターの最も重要な部分である回転軸そのものが曲がってしまい、取り返しのつかない故障に繋がります。

このリスクを考えると、一時しのぎの注油ではなく、根本的な解決、つまり換気扇の交換が望ましいと言えるでしょう。

パターン2:「ゴー」「ボー」といった、風が詰まるような低い音

もし、「ゴーッ」という、明らかに風がどこかで詰まっているような低い音が聞こえた場合、その原因は換気経路(ファン・ダクト・排気口)全体の「詰まり」です。

「では、ファンを掃除すれば直るのでは?」そう思われるかもしれません。しかし、問題は、あなたが思っているよりも、ずっと根深いことがほとんどです。

下の写真をご覧ください。これは、実際に10年以上使用された換気扇の内部です。
浴室やトイレの換気経路は、大きく分けて3つの関所で構成されています。そして湿気を含んだホコリは、これらすべてを詰まらせていきます。

詰まりのポイント①:ファン本体の目詰まり

左が10年以上使用され、湿気を含んだホコリで目詰まりしたファンです。右の新品と比べると、空気を掻き出すための羽根の隙間が、ほとんどなくなっているのが分かります。

ホコリで目詰まりした換気扇のシロッコファンと、新品のきれいなファンの比較写真
長年のホコリと湿気で目詰まりしたファン(左)と新品のファン(右)。換気能力の低下は一目瞭然です。

ファンが空気をしっかり掴めなくなり、モーターの力だけが空回りしている状態になります。これにより、まず換気能力が目に見えて低下し始めます。

詰まりのポイント②:排気ダクトの閉塞

これは天井裏の排気ダクト内部、つまり空気の通り道です。湿気を帯びたホコリが壁面にフェルト状に固着した結果、新品(右)と比べて空気の通り道が著しく狭くなり、スムーズな排気の大きな妨げとなっています。

ホコリがフェルト状に固着した排気ダクト内部と、新品のダクト内部の比較写真
普段は見えない天井裏のダクト内部。ホコリの壁が空気の通り道を塞いでいます。

普段目にすることのない天井裏のダクトに、これほどのホコリが溜まっていることに驚かれる方も少なくありません。 壁面にびっしりと固着したホコリは、当然ながら空気の大きな抵抗となり、換気能力をさらに低下させます。この段階になると、浴室の湿気やトイレの臭いが、以前より抜けにくくなったと感じるようになります。

詰まりのポイント③:屋外排気口の詰まり

左がホコリで完全に塞がれた排気口、右が清掃後の本来の姿です。空気の最終的な出口が、湿気とホコリでできた分厚い壁で塞がれてしまう。これこそが、換気扇の詰まりにおける最も深刻な状態です。

ホコリで完全に塞がれた屋外排気口と、清掃後のきれいな排気口の比較写真
空気の最終出口である排気口の詰まり(左)。これでは換気扇が機能しません。

これは、換気経路の「完全な通行止め」を意味します。どんなにファンが回っていても、出口が塞がれていては空気は一切排出されません。行き場を失った空気はダクト内で渋滞・逆流し、「ゴーッ」「ボーッ」という、これまでで最も大きな異音を発生させます。

ここまで見てきたように、「ゴーッ」という異音は、ファンの一点だけで起きているのではなく、天井裏の排気ダクトから屋外の排気口に至るまで、空気の通り道のどこかの箇所が、程度の差はあれ詰まっていることによって引き起こされているのです。

これだけ広範囲の詰まりを目の当たりにすると、「では、どうすれば…?」と解決策が気になるところでしょう。

では、この広範囲の詰まりは「清掃」で解決できるのか?

多くの方が次に考えられるのが「清掃」による解決です。しかし、ひと口に「清掃」と言っても、その方法によって大きな限界があるのが実情です。

一般的に思い浮かべる2つのケース、「ご自身で掃除する場合」と「清掃専門業者に依頼する場合」について、なぜ根本解決に至らないのかをご説明します。

【ご自身で掃除する場合の限界】
まず、ご自身の手が届くのは、手前にあるファン本体までです。写真でご覧いただいた、問題の根源となりやすい「天井裏の排気ダクト」や「屋外の排気口」の詰まりは、手つかずのまま残ってしまいます。また、固着した汚れを落とす作業は危険も伴います。

【清掃専門業者に依頼する場合の限界】
次に、ハウスクリーニングの専門業者に依頼するケースです。根本的な解決には、換気扇本体を一度取り外して、その奥にある排気ダクトの内部までアクセスする必要がありますが、この「換気扇の取り外し・再設置」という作業は、電気工事の資格がなければ行えません。

【結論として】
つまり、一般的に思い浮かべる「清掃」という手段では、詰まりの根本原因を完全に取り除くことは難しいのです。表面的な清掃に10,000円前後の費用をかけるよりも、換気経路全体の問題をリセットできる、より根本的な解決策を考えるのが、長い目で見て最も賢明な判断と言えるでしょう。

修理と交換、結局どちらを選ぶべきか

「原因は分かったけど、結局、修理と交換のどちらが賢いの?」そう思われるかもしれません。特に気になるのは費用のことでしょう。

結論から申し上げますと、私たちは、10年以上お使いの換気扇は、修理ではなく交換をおすすめしています。

モーター交換の費用は、決して安くない

異音の主な原因であるモーターだけを交換する場合、一般的な費用は工事費込みで20,000円~35,000円前後と言われています。

一方で、シンプルな機能の新しい換気扇本体への交換であれば、機種にもよりますが、総額で30,000円台から可能な場合があります。

「数千円でも安いなら、修理の方がいい」と思われましたか?しかし、ここには大きな落とし穴があります。
たとえモーターを新品にしても、ファンやダクト(空気の通り道)に溜まった10年分のホコリは、そのままです。さらに、モーター以外の部品も同じように劣化しています。せっかく高いお金を払ってモーターを修理しても、またすぐに別の場所が故障し、結局「交換」が必要になる…という「二度手間」のリスクを、常に抱え続けることになるのです。

これらの理由から、私たちは中途半端な修理で無駄な費用と時間を使うよりも、新しい換気扇に本体ごと交換することで、換気能力を最大限に取り戻すことが、結果的に最も確実で、合理的な選択肢だと考えています。

まとめ:異音は、根本的な解決策を考える最高のタイミングです

これらの理由から、中途半端な修理で費用と時間を無駄にするリスクを冒すよりも、新しい換気扇に本体ごと交換すること。それが、換気能力を大きく改善させるための、最も確実で合理的な選択です。

「じゃあ、うちの換気扇を交換すると、いくらかかるんだろう?」そう思われた方は、次のステップとして、ご自宅の換気扇が設置されている場所の、専門ページをご覧ください。

この記事を書いた人
株式会社電恵 代表取締役 岸 元気
岸 元気電気工事士
株式会社電恵代表。
電気工事施行管理20年の経験
保有資格:第一種電気工事士、1級電気施行管理技士。
電気工事の経験20年、独立後は自力で作成したホームページ集客のみで法人設立後も3年間黒字を維持。